院長コラム
薬は始めたらやめられないのか?
高血圧などの治療をする際に、薬を始めるとやめられなくなるという懸念を持たれている方がいます。例えば、高血圧症の場合、減塩や運動などで血圧の低下が期待できます。糖尿病の方は、運動や食事療法を十分に行うことで改善が期待できます。このように、生活習慣病では生活習慣を見直すことで内服しないで済むことがあります。
薬がやめられないのは、一つは生活習慣の改善が不十分であることがあげられます。生活習慣の改善が不十分な場合は、薬を飲んでコントロールすることになります。
生活習慣を改善しても、改善が不十分なこともあります。これは、加齢など生活習慣の改善ではどうにもならない原因もあるためと考えられます。この場合は、内服を中心に病気をコントロールする必要があります。
このように、生活習慣病の薬をやめられないのは、薬に依存性があるわけではなく、生活習慣が変わらない、もしくは、病気そのものが治るものではないからといえます。血圧の薬は、やめても元の血圧に戻るだけであり、やめられないというよりは、続ける必要があるということになります。急にやめても、元の状態に戻るだけで、すぐ症状がでることはないため、薬の中では、むしろ、やめやすい薬になります。血圧、糖尿病、高脂血症などは、今の症状をよくするためではなく、将来の病気(脳梗塞や心筋梗塞など)のリスクを減らすために治療をしているのです。副作用や経済的な面を考えると薬は内服しないほうがよいでしょう。しかし、内服を過度に恐れるあまりに、将来、より重大な病気となる可能性があることも忘れてはいけません。漫然と継続するのではなく、医師とよくコミュニケーションをとって薬剤の調整をしてゆきましょう。内服をしたとしても生活習慣を見直すことによって、薬の減量や中止ができるかもしれません。
絶対にやめられない薬は、例えば、I型糖尿病のインスリンや心房細動の抗凝固療法など、中止することで重大な結果を比較的短期間でおこしうる薬になります。
急にやめられない薬もあります。ステロイドは長く使用していると、体で自分のステロイドホルモンを作らなくなるため、急にやめるとステロイド不足になる可能性があります。低血糖や低血圧など重い症状が出る可能性があります。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、急にやめるといつもよりひどい不眠になることがあります。また、抗不安薬の中には依存性があるものも知られています。このように、一度使うとやめにくい薬は、使う前に使うべきかどうか慎重に判断する必要があります。
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