院長コラム
帯状疱疹とワクチンのはなし
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる疾患です。80歳までに3人に1人が経験するといわれています。みずぼうそう(水痘)のウイルスが神経に感染し、ウイルスに対する免疫の低下(ストレス、疲労、加齢)とともに再び帯状疱疹として出現します。神経を壊しながら皮膚に出現するので、痛みを伴うことが多く、帯状疱疹後神経痛という治りにくい後遺症を残すことがあります。顔に起こると、視力低下や麻痺などを起こすこともあります。また、皮膚の炎症により、跡がしばらく残ります。通常、帯状疱疹は再発しないことが多いです。しかし、帯状疱疹にかかった後、かなり年数がたった場合や、免疫抑制作用のある薬剤を使用した場合は繰り返すこともあります。
ちくちくした痛みを感じるようになった場合は、皮膚に異常がないかどうか十分に観察するようにしましょう。帯状疱疹は、通常、体の中心線を超えません。皮膚が赤くなり、水疱ができます。赤黒い出血を伴うのも特徴です。基本的には自然に改善しますが、後遺症を防ぐためにも早く治療しましょう。数日がたってしまうと、抗ウイルス薬による治療の効果が期待できません。重症な場合は、脳炎などをおこし命にかかわることもあります。まれに、汎発疹といい全身に皮疹がでることがありこれも重症のサインです。
帯状疱疹は年齢とともに発現しやすくなりますが、免疫抑制作用のある薬剤の使用で頻度が増すと考えられます。特に、ステロイドやJAK阻害薬(オルミエント、ゼルヤンツ、スマイラフ、リンヴォックなど)では注意が必要です。
50歳以上の帯状疱疹予防にワクチンが使用されます。生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。帯状疱疹にかかった人も、しばらくたっている場合には再発の恐れがありワクチンの効果が期待できます。数年間は有効性があると考えられ、毎年打つ必要はありません。
生ワクチンは、小児が水痘予防に接種するものと同じです。一回の接種で予防効果があります。利点としては安いことですが、生ワクチンのため、免疫抑制剤やステロイドを使用している方には使用できません。50-69歳で約90%、70歳代で約85%に免疫が上昇したと報告されています。
不活化ワクチン(シングリックス)は、免疫抑制剤やステロイドを内服している方でも接種可能です。また、アジュバントという免疫を強く誘導する成分も入っているため有効性が高いといわれています。50歳以上で97%、70歳以上で89%の有効性(実際にかかった人の減少率)が示されています。シングリックスの問題点としては、高価で、2回打つことが必要です。また、筋肉注射なので打った部分には痛みが出やすいです。
有効性は不活化ワクチンが良い印象ですが、価格や持病を考慮してどちらを選ぶか選択していただくとよいでしょう。
当院では水痘ワクチンが7000円(税抜)、シングリックスが一回20000円(税抜)です。シングリックスは2回で40000円(税抜)かかります。接種ご希望の方はご相談ください。
帯状疱疹については以下の情報サイトも参考にしてください。
https://taijouhoushin.jp/
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